個人的な日記

ふりかえりとか、きもちとか。

文字を追えなくなって

 

 

久しぶりに、文字を追った。

7月10日。

 

 

雑誌「音楽と人」の今月号は

あの歌手が表紙で、ロングインタビューが掲載されている。

 

私は18年、途切れることなく

あの歌手を夢中に追いかけていて

18年間の自分を思い出し重ねながら

この記事を読めたことを本当に嬉しく思います。

 

- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

 

私は読書が好きだった。

図書館や本屋にしょっちゅう足を運び

本を触ること自体を楽しむ。

 

 

10年くらい経つだろうか

鬱を患ってから、だんだん文字を追えなくなった。

 

たまには読む。

でも、気持ちが他のところにいってしまうような感覚になる。

本の世界に入っていきたいのに違う感覚が邪魔してくる。

それはもう読んでいないことと同じ。

 

 

どうにかして読むこともあるけど

そんなのはひとつも楽しくない。

 

 

 

読書好きの友人の影響で

ゆっくり、読んでみる時期もあった。

 

 

どんなに忙しくても

電車の中や待ち合わせまでの隙間時間など

少しでも時間ができれば、本を読みたくて

いつもバッグに文庫本を入れていたのに

最近は、読みたい本がただ積まれていくだけになった。

 

何もすることがなく

ただダラダラと過ごす時間もあるのに

なかなか本を読めない。

 

 

鬱になった後、できることとできないことに

極端な差が出た。

物事を理解するのも相当時間がかかる。

頭の中で組み立てて考える力が

かなり衰えた。

 

 

7年前、専業主婦からパート主婦になる。

これを機に、働くことで

少しずつ衰えたものが矯正され始めた気がする。

 

メンタルの上がり下がりを緩やかにするのは

とても難しかったけれど

現在の自分は、8割くらい回復したと思う。

 

回復できないであろう部分もあって

それは諦めつつ、個性として受け入れ

あまり自分は鬱だったから・・・というようなことも、思わないようにした。

 

過去は、動かせないし

今から良くしていけばそれでいい。

 

- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

 

音楽と人」のあの歌手のロングインタビュー、

本当にロングだった。

 

 

こんなにあったら何回かに分けないと・・・

まずは読み始めよう。

 

 

まずは写真を眺める。

あの歌手はとても良い表情をしていて嬉しい。

あの歌手は、悩み、孤独、色々抱えやすい人だと思っている。

でも、強い信念を持っている印象もある。

 

両面の相乗効果でものすごく良い作品を作ったり

ライブパフォーマンスに大きな感動がある。

だから癖になって目が離せないのかも。

 

 

インタビューの中のあの歌手は

心から、本当にそう思ってきたんだろうなと受け取れる言葉でしか話しておらず

その強さと繊細さと

あっけらかんとしたところや、ひょうひょうとしたところ

可愛らしさ、全部が今までこちら側に届けてきてくれたことが

バチッと寸分の狂いもなく一致している気持ちになった。

 

6月に発表された新しいアルバムを

最近は何曲か厳選して聞きたい順に聴いていて、

でもこの時は、

一曲目からあの歌手が選んで決めた公の曲順で聴きながら

記事を読み始めた。曲タイトルや歌詞が時々出てくる。

 

2年間、新しいアルバムを心待ちにしていて

アルバムのタイトルが発表された時に

「またやってくれたな、すごいタイトル・・・!」

と動揺して、

 

収録曲が発表された時には、曲タイトルを眺めながら

何時間も曲のイメージを膨らませて、

 

今はもう、その新しい曲をすべて聴いて

何度も聴くたびに新しい発見をしたり

「これを歌えるようになるには」と考えたり

実際に歌ってみて

 

「やっぱ難しいわー、あの歌手、天才・・・」

 

とため息をつく。

 

これだけ動揺と感動を貰い、それを楽しむことができる。

楽しく振り回されている自分を楽しんで

更に振り回して欲しいと思う気持ちが

18年続いて、まだ飽きないし終わることは無いと確信する。

 

その上で、20周年を振り返りつつ

インタビュー記事を読んでいたら

感動をしすぎてしまった。

 

涙が勝手に流れているなぁ、と気付いた。

そして、無我夢中に文字を追えている自分にちょっと驚いた。

 

自分自身の鬱の思い出も重なっていたかもしれない

誰も理解してくれないとしか思えず

自分自身がどうなっているかわからず

水の中にいるような気味の悪い感覚

そんな時も耳の奥であの歌手の歌声が

絶対的存在として、毎日隣にいてくれた。

 

今は水の中の感覚は皆無となり

自分自身のことを把握し、回復して

色々あったし、今も色々あるけれど

あの歌手が絶対的存在で隣にいることは

全く変わっていない。

 

そういう背景を意識して文字を追っていると

あの歌手への感謝も便乗して

涙が、どはどばと出てきた。

 

 

普段は、あの歌手と私の物理的距離が果てしなくて

時々、あの歌手が実在してるのか不安になるけれど

飛行機の上から、雲の下の地形を眺めていると

 

『あなたもこの空の下 同じ日差しを』

 

という歌詞が浮かんで

 

『雨が止んで 晴れるように』

 

というのも浮かんで、

あの歌手も私も実在していて

お互い同じ空をいつも見ていて

色々あるけど、楽しい時もあるんだ

目の前のことだけを見ていてはつまらない

 

と確信できた。

 

 

確かこの歌詞の曲は

わが子が紙パンツでウロウロしている時代のもので

 

あの歌手は、かなり昔から

私が今気付いたことを、既に気付いていたのかな、

 

いつ作られた曲でも、あの歌手は

新鮮に、私の心を読んでは教えてくれるんだな、

 

これからも悩んだり困ったりしても

嬉しい時も、あの歌手は変わらず隣に居てくれるんだろうな、

 

そんな確信もした。

 

- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

 

そして明日、インタビューに出ていた写真と同じクリームソーダを飲もうと思う。

 

同じ格好では、飲まない、絶対。

 

あれは、お行儀が、悪い。

 

 

記録的大雨でなかなか入手できず

空港で思いがけず購入することが出来、

そうだったからこそ

『花風』の歌詞に教えられる機会もいただけた。

窮屈なLCCの座席でも、壮大な世界が広がることも学びました。

 

 

あの歌手と、今回のインタビュー記事を書いてくださった

ライターの金光裕史氏に深く感謝いたします。